Jahn-Teller 分子であるシクロペンタジエニルラジカル(C5H5)を取り上げ、
振電相互作用(電子格子相互作用)定数の計算方法を提案している。
単一の Slater 行列式に基づく計算では
「縮退点における電子波動関数の対称性の破れ」と「Hellmann-Feynman の定理の破綻」
が起こることを指摘している。
これらの困難を解決するために、電子波動関数を Generalized Restricted Hartree-Fock(GRHF)法
と Complete Active Space Self-Consistent-Field(CASSCF)法を用いて計算し、
振電相互作用定数を振電相互作用の電子演算子に対する行列要素として計算している。
得られた振電相互作用定数は実験値を良く再現している。
振電相互作用の大きさを電子構造と振動構造の観点から解析するために、
振電相互作用密度の概念を提唱している。
振電相互作用密度は、振電相互作用の局所的な描像を与えることから、
振電相互作用を制御するための一助となる。
これらの結果は、振電相互作用を制御した工学への道を切り開くものである。
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