論文 5
  Jahn-Teller分子である C5H5C5D5 を取り上げ、 振電相互作用(電子格子相互作用)定数を、Gegeralized Restricted Hartree-Fock(GRHF)法 と Complete Active Space Self-Consistent-Field(CASSCF)法 で得られた波動関数を用いて、振電相互作用の電子演算子の行列要素として計算している。 得られた C5H5, C5D5 の振電相互作用定数は、 実験値を良く再現している。 振電相互作用密度解析により、重水素化が振電相互作用に及ぼす影響について、 電子構造と振動構造の観点から考察している。 重水素化による振動数の変化だけではなく、 振動モードの変位の向きの変化も振電相互作用に大きな影響を与える ことを明らかにしている。 振電相互作用密度は、振電相互作用の局所的な描像を与えることから、 振電相互作用を制御するための一助となる。 これらの結果は、振電相互作用を制御した工学「vibronics」への道を切り開くものである。