論文 17
Creutz-Taubeに類似した2核金属錯体、 ([L5M-BL-ML5]5+ (M=Fe, Ru, Os, BL=pyrazine (py), 4,4'-bipyridine (bpy), L=NH3),)、 を取りあげ分子型QCAにおける信号伝達挙動の金属原子依存性を考察した。 架橋配位子として py を有する錯体に関しては、信号伝達時間 (tst) は Fe 錯体 (0.6 fs) < Os 錯体 (0.7 fs) < Ru 錯体 (1.1 fs)、 信号強度 (A) は Fe 錯体 (0.05 e) < Os 錯体 (0.06 e) < Ru 錯体 (0.10 e)となった。 架橋配位子として bpy を有する錯体に関しては、信号伝達時間 (tst) は Fe 錯体 (1.4 fs) < Os 錯体 (1.7 fs) < Ru 錯体 (2.5 fs)、 信号強度 (A) は Os 錯体 (0.11 e) < Ru 錯体 (0.12 e) < Fe 錯体 (0.13 e)となった。 架橋配位子として bpy を有する錯体は全般的に大きな信号強度を有するが、信号伝達にはより長い時間がかかる。 信号伝達時間・信号強度の双方の観点から、Bpy-Fe錯体が最も好ましい結果を有する。 これらの結果を、分子軌道の重なり積分およびエネルギーギャップの観点から議論している。